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【活動報告】家庭裁判所調査官に関する勉強会

3月13日(土)、豊島区BBS会主催のzoomでの勉強会に参加させていただきました。

参加者は、豊島区や早稲田のBBS会員、豊島区保護司会の方などで、合わせて27名が参加しました。

 

勉強会では、家庭裁判所調査官をなさっていた大正大学の伊藤直文先生に、少年非行に関わる家庭裁判所調査官について教えていただきました。

 

・家庭裁判所調査官とは?

自己紹介を終えた後、まず最初に家庭裁判所について教えていただきました。

ほとんどの家庭裁判所は、少年部と家事部に分かれています。

少年部では、少年非行を扱います。

家事部では、離婚や親権争いのような家族・親族に関する事件を扱います。

家庭裁判所調査官(以下「調査官」とします。)はこれら2つのうち、どちらかに所属します。

主な仕事は、審判を行う前に、事件の当事者やその周囲の人の調査を行うことです。

今回は、少年部に所属する調査官に焦点を当てました。

 

・司法における非行少年の扱い

刑法では、定められた刑罰と犯した罪を照らし合わせることが目的です。

しかし少年法では、少年の健全育成を目的としています。

犯した罪の全ての責任が少年にあるとは考えず、環境や親などの関係性を考慮します。

また、少年の親が親としての責務を果たしていない場合などもあるため、国家が後ろ立てをし、健全育成を目指します。

さらに、健全育成を目的とするものとして、少年院送致・保護観察などの保護処分があります。

しかし、以上のような教育的側面以外に、社会的制裁の側面もあります。

刑務所で服役するような罪を犯していない少年も、少年院に送られることがあるのです。

 

・少年部の家庭裁判所調査官

調査官の調査では、家庭裁判所の審判の過程自体が教育的側面を持っていることもあり、事件の事実確認を行うだけではありません。

調査を通して、少年の気持ちや背景などを知る必要があります。

そのため、面接を行ったり、学校や病院など様々な機関と連携しながら調査を行います。

また、調査以外にも、審判にあたって少年の経過を一定期間見る試験観察も行います。

このように調査官は、事件の当事者や周りの人が物事を考え、解決することの手助けを行います。

伊藤先生によると、少年部の調査官は責任は重いが、自分なりの仕事ができる・様々な機関と繋がることで視野が広がるなどの面白さがあるそうです。

 

講義の後は、4つのグループに分かれディスカッションをし、質疑応答が行われました。

 

勉強会を通して、家庭裁判所調査官のことのみならず、少年司法の手続きなど、様々なことを知ることができました。また、実例を交えた説明や先生自身の考えを直接聞くことができ、貴重な体験となりました。