12月14日、上智大学で開催されたシンポジウム、「被害者の声を聴こう〜よりよい支援のために〜」に参加させて頂きました。被害者支援の現状と課題、展望について被害者と支援者、それぞれの立場からお話を伺うことができました。
⒈被害者の声を聴く
犯罪者遺族である3人の方がそれぞれ、事件当時のこと(事件直後の心情、司法的な手続きを含めた事件後の諸手続き、司法・行政について思うことなど)をお話して下さいました。
3人とも事件によって家族を失った、という点では共通していますが、1996年・2012年・2013年(事件発生年)という時間差のために公的に受けることのできた被害者支援が違う、という点で大きく異なっていました。その理由としては2004年に犯罪被害者等基本法が制定されたこと、またそれ以降に様々な機関で少しずつ被害者支援が充実していっていることが挙げられます。
⒉パネルディスカッション
司法、行政、福祉、医療など、様々な分野の専門家と犯罪被害者によって包括的なケアに関するディスカッションが進められました。
⑴ ディスカッションの概要
支援を必要とする人に対して、早期から!漏れなく!途切れることなく!支援を提供するにはどうすれば良いかを考える中で、次のような議論がなされました。
①全ての各自治体で条例を整備することの重要性(実際の事例を挙げながら)
②行政との連携を改善する必要性
③具体的に弁護士、警察官、ソーシャルワーカーなどが出来ること、出来ないこと
⑵“支援者”という立場に関して強調されていたこと
①支援を考える際には、支援者の都合ではなく、被害者の立場から考えることが大切である。
②各機関の連携は、限られた資源からより質の高い支援を実現するために重要であるが、単なる情報共有だけでなく、協働する段階まで持っていく必要がある。
⒊総括
シンポジウムを総括して被害者学と社会福祉学の教授2名からお話がありました。日本人は、知っている人には比較的手を差し伸べるものの、知らない人には手を差し伸べない傾向にある、というお話が印象的でした。また総括の中で、犯罪被害者は誰でもなりうるものであり、他人事ではないのだという認識と共に被害者支援に関する正しい情報を広める重要性を実感しました。
BBSの活動では、加害者の問題について考えることが多く、被害者という視点を持つことがあまりないので、今回のシンポジウムは貴重な機会となりました。娘を殺害されたが、少年事件だったが故に実名で報道されない等のやるせなさを経験したとおっしゃっていた方もいらっしゃいました。特に少年にとって、再犯防止のためには刑罰よりも矯正教育が有効だと思います。しかし、被害者遺族にとっては家族を殺されてしまったという取り返しのつかない出来事であるということを忘れてはならないと感じました。それと同時に、加害者の人権と被害者の人権についても考えさせられました。
また、⑵で挙げた「支援者という立場に関して強調されていたこと」は、更生保護でも同じことが言えるのではないかと思います。
お辛い経験をされたにもかかわらず、当時のお話をしてくださった遺族の皆さまに感謝致します。