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【活動報告】12月研修会

 

1222日、学生会館にて12月研修会を行いました。映画「誰も知らない」を鑑賞し、意見交換をしました。

  

この映画は1988年に起きた西巣鴨子供置き去り事件をもとに製作されています。少年(事件当時14)の父親は蒸発しており、母親とそれぞれ違う男性との間に生まれた妹3人で暮らしていましたが、子供はみな出生届も出されておらず学校にも通っていない状態でした。母親も子供を置いて出て行き、月々の金銭的援助を行っていたものの実質ネグレクト状態にありました。母親が出て行った3ヶ月後、家に来ていた長男の遊び友達の暴行で2歳の妹が死亡してしまいます。

 映画の内容と若干の違いはありますが、この事件の内容に沿って作られていたように思います。

 

 

 

 映画では劇的な展開はなく、少年と家族の生活がドキュメンタリー風に描写されています。考えさせられることがとても多く、鑑賞後はとても複雑な感情を抱きました。

 

 序盤のシーンでは子供たちと母親の関わりから温かさや愛情が感じられたのですが、母親は家を空け帰って来ず、金銭的な援助だけになり、その変化はとても恐ろしく感じられます。妹が亡くなってからは、追い詰められていく子供たちの様子にとても胸が痛みました。しかし、母親をただ責めることもできませんでした。母親のネグレクトは許される行為ではないけれど、子供よりも自分の幸せを優先してしまったのは、彼女の生まれ育って生きてきた環境が影響しているはずです。映画の中で、長男が「学校に行きたい、お母さんは勝手だ」と訴えた時に、母親が自分も幸せになりたいのだと言った場面がとても印象に残りました。このような痛ましい事件が起きた時にもちろん親は責められますが、虐待や苦しみの連鎖をなくすためにはその背景についても考えなければならないと感じました。

 

 そして置かれた環境からどんなに逞しく見えても、やはり子供には愛情を与え守ってくれる大人が必要であると思います。「保護されれば4人で暮らせなくなる」という理由で少年は保護を受ける意志が全くなかった点にも問題意識を持ちました。