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【活動報告】9月研修会

 

9月6日、9月研修会が行われました。

 今回の研修会では、映画『沈没家族』を鑑賞し、その後意見交換を行いました。

 

 『沈没家族』は、加納土監督が、「沈没家族」といわれる、自らが育った特殊な家庭環境に迫ったドキュメンタリー映画です。当時、シングルマザーだった監督の母親は、ビラを配って息子「土」の共同保育人を探します。そこで集まった様々な境遇の「保育人」達によって構成された「沈没家族」。大学生になった「土」は「家族とは何なのか」を見つめなおしてゆきます。

 

 意見交換会では映画と自分の育ってきた環境とを照らし合わせるなどして家族や子育てについて考えることができました。

 

以下に参加者の感想を紹介したいと思います。 


「家族や親の在り方は様々であると感じました。主人公が沈没家族で過ごした時間は長くなかったようです。それでも、彼の人生に大きな影響を与えていることを感じ、幼少期の育つ環境は子供にとって大きいと思いました。また、現代の感覚では子供に悪影響に感じるような場面もありました。しかし、実際に沈没家族で育った人の様子を見ると多くの人に育てられたことで得たもののほうが多いように見えました。自分の家族についても考える良い機会となりました。」

 

 

「監督が舞台挨拶で、映画を通してもっと人に迷惑をかけても良い雰囲気を広げられたら、窮屈でなくなったら、とおっしゃっていました。その言葉通り、沈没家族での土くんのお母さんの子育ては他人に遠慮なく負担をかけています。ですが土くん自身や周りの大人達が1人ひとり生き生き過ごせるよい居場所になっていたのだろうなと感じました。

 ただ大人数での子育てが実現したのは、お母さんの人とつながる能力の高さの影響がかなり大きいと感じました。人とつながることの苦手なシングルマザーも、1人で抱え込まない子育てをしやすい環境が必要だと感じました。」

 

 

 「沈没家族の映画を撮ることを通し、監督自身が、自らの、普通とは違う、とされ度々メディアにも取り上げられた幼少期の家庭環境を肯定的に捉え直していることが印象的でした。監督は、映画をきっかけに多くの沈没家族の大人達や血縁上のお父さんと再び会って話をするきっかけになったと話されていました。

 また、監督のお母さんの「あなたはたまたま発生しただけ」と割り切ったような言葉や、見知らない他人との共同保育に我が子である土くん(監督)を委ねる選択は、世間的には母親らしくない、と言われてしまいそうだと感じました。ですが、自分が土くんと共に生きていくために、母親らしさに囚われず、周囲を巻き込みながら子育てをしていく姿は土くんを大切にする気持ちの表れでもあり、土くん自身にも大きな影響を与えたのだと感じました。

 現代ではSNSの普及や都市部での地縁が薄れたこともあり、周囲の人と繋がり助け合う、というよりは迷惑をかけてはいけない、という風潮が強く、もし再び沈没家族のような試みがあったとしても白眼視されてしまうかもしれない、と思いました。けれど、家族の形は色々あっていいのだ、と肩の力を抜くことの大切さを教えられました。」


家庭環境は人によって様々に異なるものですが、「沈没家族」もある一つの家族の形でした。この映画を観たことで、これからの社会や家族について考えていくきっかけとなりました。