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【活動報告】9月研修会

会員による研修会が9月29日に開かれました。今月の研修会のテーマは「被害者の視点を取り入れた矯正教育」です。矯正教育の場面で、被害者をはじめとした他者のことを少年に意識してもらうにはどうしたらいいかを考えました。特に今回は、「ロールレタリング」と呼ばれる技法に着目しました。

 

9月研修会の様子
9月研修会の様子

 

 

実際に矯正施設で行われている贖罪指導の一つであるロールレタリングは、加害者が被害者の立場を想像して、自分あてに手紙を書くものです。今回、以下の二つの事例の加害者となってロールレタリングをしました。(いくつかの書籍をもとに、会員が制作した架空事例です。)

 

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1. 高校生のたつやは、中学時代の先輩から「指定された場所で受け取った封筒を指定された場所に運ぶだけで3万円貰えるアルバイト」に誘われた。たつやは没頭していたゲームへ課金するために話に乗ったが、アルバイトについての詳しい事情を教えてもらず疑問を抱いていた。実際に指定された場所で待っていると、そこに現れたのは、年配の女性だった。女性から500万円が入った封筒を手渡されたとき、この人は騙されているのだと確信したものの、「騙される方が悪い、捕まるのは先輩だ」と考え、お金を受け取った。詐欺容疑で逮捕された後、審判でたつやは自分も騙された一人だと主張した。

 

2.サッカー強豪校に所属するシュンは幼少期からサッカーに熱中していたが、過度の練習による怪我でサッカーを継続できなくなり、退学を余儀なくされた。両親は期待の星を失い呆然としたが、父のリストラもあり、シュンを受け止めることができなかった。失意のどん底にいたシュンは、小学校時代のサッカーチームの「落ちこぼれ」が所属する暴走族と付き合うようになった。そこでは資金調達のために、バイク窃盗が横行していた。ある日先輩と歩いていたシュンは、暴走族のリーダーが探し求めていた希少なバイクを見つけた。シュンは周りに一目置かれたいと考え、見張り役を務めて先輩の窃盗を手助けした。事件後調査官が被害者に聞いたところによると、バイクが盗まれたと気づいた時、あまりの衝撃に仕事にも手がつかなかったという。

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書いた手紙を共有した結果、加害者を強く責めるもの、立ち直って欲しいと励ますものなど様々な内容がありました。

 

BBS会の活動は加害側に寄り添うという面があるため、どうしても加害者の境遇に同情してしまいがちで、それが手紙の内容にも表れてしまうなど難しかったです。

 

 

手紙を書く会員たち
手紙を書く会員たち

加害者はどうして罪を犯してしまったのか、自分の弱さなど自分自身のことや、被害者の心情などをどれぐらい理解しているのかなど、考えさせられました。

 

 

時間がなくてできませんでしたが、次に機会があれば、被害者の立場から想像して書いた手紙に対して、加害者の立場で返信の手紙を書いてみたいと感じました。

 

(参加者感想)